カフェ/コーヒー

【第1章】卒業論文は「カフェ文化」!? カフェを巡り始めた休学時代 -『種まきレポート』

くろしゅん
くろしゅん
いよいよ始まりました!cafe sowers創設~3年目までの物語『種まきレポート』第1章 今回はカフェ構想が始まった休学時代に遡ります。お楽しみに…♪

僕はコーヒーじゃなくて、カフェが好き

よくカフェを運営していると言うと、「コーヒーがお好きなんですね。」というお返事が来ることが多いのですが、半分正解でもう半分は実はちょっと違くって。どういうことかというと、確かに僕はコーヒーも好きなのですが、コーヒーと同じくらい「カフェ」という空間が好きなんです。

だから、コーヒーが好きでカフェをつくろうと思ったというよりは、カフェの空間が好きでカフェを自分もつくりたいと思ったんです。

最近では紅茶専門のカフェがあったり、ハンモックカフェや猫カフェのようなコーヒー以外を売りにしているカフェも多くなってきているため、「空間」的に好きなカフェがある方もいるのではないでしょうか。

悩みを聞いてもらいに友達と一緒に行く時間も、一人でのんびり読書をしに行く時間も、なんだかお気に入りのカフェ(という空間)で過ごすとちょっとだけ特別になる気がするんです。高校生まではお金に余裕もなくて、カフェに入ることは少なかったのですが、大学生になって気がついたらカフェに入る回数が増えていて、その空間に惚れてしまっている自分に気が付きました。

 

卒業論文は『世界一多様な日本のカフェ文化』

  • 「なんであんなにカフェって多様な人が集まるのだろう?」
  • 「カフェの雰囲気って、いったい何が作っているのだろう?」
  • 「そもそもカフェっていつからできた概念なのかな?」

こんな疑問を、大学の講義中にふと考えるようになりました。僕は比較文化学科という学科に所属していたため、文化比較として学術的にカフェを読み解いていくというテーマを設けて、ゼミの研究をしていくことに。

(結果的に、大学院進学のために途中で論文を切り替えてしまったのですが、1万文字くらいまではまとめていました。笑)

最初は半信半疑で、「カフェの文化なんてあるのかな?」なんて勢いで調べてみると想像以上にその歴史は深く、自分の知的好奇心がくすぐられるとともに、「実際に行ってみたい!」という感情まで育っていきました。

ここでは語りきれないほどの物語が、カフェの発展の歴史にはあるんです。いくつか面白いなぁと思った話を、次の項目でご紹介していきたいと思います。その前に蛇足ではありますが、論文冒頭の「研究の背景」を少し引用してみます。

1-1 研究の背景

 ある日東京へ行って驚いたことがある。少しコーヒーでも飲んで休憩でもしよう、と近くのカフェをインターネットで検索すると数え切れないほどの店舗が出てきた。よく見るような普通のカフェから、メイド喫茶やフクロウカフェ、文房具カフェ、病棟カフェなど様々な種類のカフェが出てきたのだ。恐る恐る入ってみたそれらのカフェの中には、新たな世界が広がっていた。そこには独自のコミュニティーが形成されており、コーヒーなどの飲食だけを目的とするのではなく、猫との戯れの時間であったり珍しい文房具の書き試しであったり、と二次的な要素への興味が客の中にはあったように思えた。二次的というよりも、もはや飲食物とその他の特化した要素との間の差異はほとんどないようにも思えた。そのような「カフェ」というものの異質な環境を目の当たりにした私は、カフェの創り出すこの独特な雰囲気に関心を持ったと同時に、新しい形としてのカフェを参考にすることで、これからの日本社会のニーズにあったコミュニティ形成の場をカフェが担うことができるのではないかと考えた。私はカフェの持つ「自」と「他」の両方を感じ取ることにできる空間が持つ可能性を見出していこうと考えたのだ。

…なんか論文っぽさがありますが、これを書いたのは大学3年生の自分。今になってみると、ちょっと恥ずかしいですね。笑

 

カフェ研究を重ねてわかった3つのこと

カフェに着いて語ったらキリはないのですが、僕が関心を持った内容の中でも、簡単にでも理解しやすい3つのことを抜粋してみました。カフェって知れば知るほど面白いんですよ〜!

語りすぎないように、それぞれシンプルにまとめていきます。

 

カフェが社会をつくった話

カフェはもともと「カーフェー」として親しまれ、ヨーロッパでは始め地下につくられていたそうです。そこでは、日々知識人が集い、表立った社会では主張できなかった政治のことや国のことをコーヒーを片手に語っただとか。

すべての市民に新聞が行き渡らなかったり、文字を読めない人がいた時代には、新たな情報をカフェで共有していたようで「文学サロン」という役割を担っていました。

有名な人でいうとナポレオンなんかも、そのカーフェーで語りに参加していた一人でした。もしかしたら、今ある社会は、昔カーフェーの中でこっそり議論されていた何かが要因となって、つくられているのかもしれませんよ?

 

カフェという語の多様性

少し以前から気になっていた言葉があったんです。それが「ワールドカフェ」という言葉です。

Q,「ワールドカフェ」とは?

ワールド・カフェは、参加者が本当に話し合いたいテーマについて、自由に意見を出し合い、お互いの思いや考えの背景について探求し、相互理解を深めることを目的としています。急いで問題を解決したり結論を出したり、終わった後に合意形成ができていたりすることが目的ではありません。

「WORLD CAFE . NET」より引用

また、このワールドカフェの名前には、「人々がオープンに落ち着いて会話のできるカフェのような空間を演出する」という思いが込められています。

僕は地域のワークショップでこの言葉を知り、初めて行った時にそこがカフェでなくて驚きました。このカフェという語の多様性に面白さを見出したと同時に、「カフェ」という空間や概念の可能性を感じた瞬間にもなりました。

 

日本の面白いカフェ文化

日本のカフェ文化は、学術的な視点から見てもかなり特殊で興味深いものなんです。

以外と知られていませんが、現在ある風俗的なお店というのも、中にはカフェが起源と言われているものもあるんですよ。

カフェは時代とともに変化していて、例えば1970年代以降には、現在でも大きな人気を誇る「漫画喫茶」なるものが誕生したんです。更にその「漫画喫茶」はインターネットの普及に伴い、漫画だけでなくインターネットサービスを加えたものへと変化していって今の形になりました。

日本食にアニメに侍など…海外の人が見てもある意味で異質な日本文化は、カフェという媒体を通じて、日本の世の中に自然と溶け込んでいるのです。

 

だから僕は、カフェの文化を知りたくて旅に出た

論文を書きながら、文字で歴史を辿るだけではなく、実際に自分でその地に行って空気を体感したいと思うようになっていました。だって「文化」というものは、その場の雰囲気も含めて呼ぶものだと思うし、とても流動的なものでもあると思うから。

世界一周中は、カフェ発祥の地とも言われている「ヨーロッパのカフェ文化」を見ながら慣れないエスプレッソを啜ってみたり、「コーヒーセレモニー」という最も興味のあった伝統文化にに会うためにアフリカへ訪れたりしました。

 

あまり専門的な部分は書けませんでしたが、

  • 「カフェの文化って多様なんだ!」
  • 「自分も日本国内や世界の多様なカフェを訪れてみたい!」

そんな風に、コーヒーだけに留まらないカフェの魅力を伝えられていたら幸いです。

 

次回は、実際に訪れたアフリカのエチオピアでのエピソードとともに、僕が「カフェ構想を宣言した日」を振り返ってみたいと思います。それでは、また2章で会いましょう!