カフェ/コーヒー

【第9章】「1年目の辛さと幸せ」カフェがオープンしてから初めての春と夏と秋と – 『種まきレポート』

くろしゅん
くろしゅん
前回の記事では、「借金を学生ながらに100万円作った話など、カフェ創設にあたって苦労したこと」について、ご紹介させていただきました。今回は、カフェが始まった1年目の様子ををお伝えできればと思います。あのメンバーで過ごした日々に、少し浸りながら大事に綴ります。

 

組織の基盤を作る1年間

カフェを無事にオープンした2017年の冬。

新メニューを開発したり、マフィンメーカーをドイツの会社から取り寄せたりと色々な進化を遂げていきました。時間はあっという間に過ぎ、気が付けば2017年度が終わって、2018年の春になりました。「つるカフェ」(移動販売車時代)からともにカフェを作ってきたメンバーは、全員4年生だったためこのタイミングでカフェも卒業です。

僕は東京の大学院に進んだのですが、カフェのこともあるし、何より山梨県の都留市が好きだったのでそのまま同じ家に住みながら、東京まで往復4.5時間かけて通う生活を選びました。

 

春のタイミングで、cafe sowers第2期の募集を始めました。

初期の段階ということでカフェの知名度も少しあり、約30~40件もの応募があったのですが、コンセプトを伝えたりその後も約1か月にわたる個人ワークとオーナー体験を経て、16人のメンバーが集まってくれたのです。

この新メンバー募集に関しても、カフェができてから初めてのことだったので、コンセプトやカフェへの想いを伝えたり、独自のワークショップを作ったりと大忙しでした。このような形で、いろいろな季節を迎えるたびに、初めてがやってきて「基盤」となるものを模索しながら作っていくという一年間になりました。

ちなみにこの頃は、毎週「朝活」をしていました。二人ペアになって鬼電しあったり、僕も遅刻して怒られたりなんだか懐かしいです(笑)

 

「これどこだっけ?」をなくすには

カフェ初期に気になったことがあったんです。

この頃はまだ食器を置く場所も決まっていない時期で、しゃもじがなくなったり、スプーンの位置が変わってて見つけられなかったりがよくありました。

  • 「また○○がないよ。みんな場所決めようよ〜!」というAさん
  • 「また○○がないよ。あ、場所決めればいいじゃん!ここにしよう。」というBさん
  • 「また○○がないよ。あ、場所決めればいいじゃん!ここにして、シールを貼って場所をみんながわかるようにしよう。」というCさん

3人とも出だしは一緒なんだけど、(B)口で言うだけでなくそれを自ら改善するのか、(C)そしてその改善したものを仕組みとして全体を向上させるのか、でいうと大きく異なるんですよね。

誤りに気づくことや、(A)解決策を考えることだけでも凄いのに、(本人は無意識かもしれないけど)その先まで見ているメンバーがいることに感動を覚えましたし、こうやってみんなで成長していけたらいいなって感じたんです。

「これどこだっけ?」を根本的に、尚且つ普遍的に解決するためには、Cさんのように実際に動いた後に他人目線でフォローを入れるところまでが必要だと思いました。

 

cafe sowers創設から1年目の想い出たち

 

1年目がとんでもなく忙しかったのは、その通りなのですが、その分思い出深い日々で溢れています。写真は、都留文科大学に通いながらフリーでカメラマンをやっているまいまいの個展を開いたときのものです。2日間で250人もの人が個展に訪れました。

このイベントの面白かったところは、写真の展示だけでなく、写真にのせて生演奏で歌を歌う人がいたり、僕らもまいまいをイメージしたこの日限定のオリジナルカクテルを用意したりなど、アートが互いに調和した空間になっていたところです。

 

彼女は、cafe sowersの写真もたくさん撮ってくれていて、いつもその素敵な写真と動画に僕たちは支えられています。ありがとう。

カメラマンのまいまいのことを「もっと知りたい!」という方はこちらからtwitterへ飛べます。

(※今度メンバーやサポータの紹介も改めてさせていただきますね。)

 

他にもたくさんのイベントを開催していて、イベントをきかっけに新しい出会いがあったり仲間が増えたりと、賑やかな日々でした。

 

初めての春

カフェで過ごした初めての春は温かくて、桜も例年より早く咲いていた覚えがあります。大学の裏山で花見をしたり、新入生歓迎のチーズフォンデュ会を開催したりと、若い世代を中心に盛り上がっていました。

大学入学当初って、学校生活だけでなく新生活に不安を感じたり、地方から来た人の中には少し孤立を感じてしまう人もいると思うんです。そういう人たちの心の拠り所にカフェがなってくれたらいいなぁ、と考えた時に思いついたのがイベント開催でした。

 

初めての夏

春はあっという間にすぎ、暑い夏がやってきました。

夏からは新メニューやコラボメニューが続々と登場しました。

お店を持たない製麺所屋さんんオーナーと知り合いました。その人は「俺は心を込めて打ったうどんをたくさんの人に食べて欲しい。でもお店を自分が持っているわけではないから、その人たちが実際に食べている姿を一度見てみたいなぁ…」とカフェのカウンターでつぶやいたんです。

「じゃあ一緒にやりましょう!」そう言ったのは第2期スタッフの一人でした。

製麺所さんとコラボで、お昼限定のうどん屋さんを少しの期間でしたが開催しました。

その味が本当に美味しくって。それに何よりも、お客さんの「美味しい」を聞いて喜ぶ製麺所のオーナーの笑顔を見れた時が、とてつもなく嬉しかった。夢と夢が繋がった瞬間だと思いました。

他にも、レモンや生姜を漬け込んで自家製のレモンスカッシュやジンジャエールを出したり、かき氷に挑戦したりもしてみました。

 

初めての秋

秋はイベントの出店が多かったのを覚えています。

都留市の秋は天気も良くすごく過ごしやすいんです。町の色々なところへ訪れるきっかけにもなり、移動販売時代を思い出して懐かしくなったりもしました。あと印象的だったのは、夏休み明けのカフェにはお土産が山積みになっていた光景ですね。実家に帰ったメンバーやお客さんから、カフェへどうぞって多くの方が地元のお土産をくれたんです。

僕はカフェがあってあまり外に出なかった時期も多かったのですが、山梨にいながらも他県や外国のお土産で旅をしているかのような気持ちになっていました。

 

カフェ存続会議「僕らが目指すものって何なんだっけ?」

新しく作らなければならないことが多すぎて、途中でキャパオーバーになってしまったり、閑散期というものを体験して経営の厳しさを思い知ったりと学びの多い1年間でした。

 

ある日、「カフェをこのまま続けるの厳しいんじゃないか?」となった日があって。

「カフェ存続会議」という名前で緊急会議をし、全員の意思の確認や今後のカフェ運営についてをみんなで夜中まで考えました。

先日書いた借金のこと、カフェの直面している経済状況、内部の問題…ずっと言えなかったことをこの会議でみんなに開示し、解決策などを考え続けました。普段涙をしない僕なのですが、カフェの会議となると感極まってしまって何度も泣いてしまったなぁ…(笑)

でもそれくらい、本気なんです。

 

「僕らが目指しているものって何だったっけ?」

目的や目標って、忙しかったり何かに向けて突き進んでいるときこそ、見失っちゃうこともあると思うんです。

だから自分に、そして大切な中同士で問いかけ続けたい。

僕らの目指しているものを、見失いかけてもしっかり握って、一歩ずつ進んでいきたいのです。

 

この1年間には、辛いことも多くあったけれど、その分新しい幸せも多くありました。これからも、みんなで新しい季節を笑顔で迎えられたらいいなって思っています。